[Japanese Version]「プライベート5Gが主流に」製造業が先導役 なぜ企業は5Gを導入し始めたのか?

adminUncategorizedLeave a Comment

提供◎QCT and Intel
2023.12.05

プライベート5G(ローカル5G)市場が、企業のDXをサポートするために拡大し続けている。製造業やヘルスケアなど多くの業界にとって5Gは新しい技術であるため、当初は課題に直面したことも確かだ。しかし事態は変わった。その重要な要因の1つに、プライベート5Gの課題を解決するソリューションを持つ台湾QCT(Quanta Cloud Technology)が本格的にグローバル展開し始めていることがある。世界のプライベート5G市場動向とQCTのグローバル攻勢について解説する。

5Gは、これまでのセルラー技術と大きく異なる。IoTやエンタープライズにとって理想的なネットワークになるように強く意識して設計されたことだ。5Gの主な特徴としては次の3つを挙げることができる。

  • 超高速大容量(eMBB:Enhanced mobile broadband):最大スループットを20Gbpsまで増加
  • 超高信頼低遅延(URLLC:Ultra-reliable low-latency):遅延を10ms未満に減少
  • 超多数接続(mMTC:Massive machine-type communications):デバイス密度を1平方kmあたり100万接続まで増加

これらの特徴を有する5Gは、工場、スマートシティ、物流、病院、大学、スタジアムなどの様々なユースケースで最適なネットワークだが、もう1つ注目しなければならない重要な点がある。それは、規制改革が5Gによる企業のイノベーションをいっそう加速させていることだ。

ローカル5G制度のある日本をはじめ、台湾、ドイツ、米国など多くの国々でプライベート5G向けの周波数が提供されており、企業は自社専用の5Gを構築することができるのだ。

プライベート5Gは今後、企業ネットワークの“主流”になると見られ、すでにその動きは多くの業界で顕在化している。次ページからは、プライベート5Gが持つ独自のメリットや世界のプライベート5G市場状況、特に製造業における活用動向、そしてプライベート5G市場をグローバルでリードする台湾QCTについて見ていく。

プライベート5G(ローカル5G)市場が、企業のDXをサポートするために拡大し続けている。製造業やヘルスケアなど多くの業界にとって5Gは新しい技術であるため、当初は課題に直面したことも確かだ。しかし事態は変わった。その重要な要因の1つに、プライベート5Gの課題を解決するソリューションを持つ台湾QCT(Quanta Cloud Technology)が本格的にグローバル展開し始めていることがある。世界のプライベート5G市場動向とQCTのグローバル攻勢について解説する。

プライベート5Gの明確なメリット

Wi-Fiやパブリック5Gといった他の選択肢と比較して、プライベート5Gには明確な独自のメリットがある。プライベート5Gは企業に対して、次のユニークな利点を提供可能だ。

まずは確実なデータコントロールである。パブリック5G等の公衆通信サービスと異なり、プライベート5Gでは、企業自身がデータを完全にコントロールできる。Wi-Fi等と比べるとセキュリティ面でも堅牢だ。エンドツーエンドの暗号化とSIM認証によりデータを守ることができるからだ。

専用周波数ゆえの揺るぎない安定性も特筆すべきメリットである。例えば日本のローカル5G制度は免許制となっており、免許なしで誰でも利用できるWi-Fiとは異なり、干渉のないスムーズな接続が保証される。同じネットワークを共用するパブリック5Gのように、他者のトラフィックに自社ユーザーのスループットなどが左右されることもない。

さらに、パブリック5Gとの比較では、上り通信に多くの周波数を割り当てたり、ニーズに合わせて柔軟にネットワークを構築できる点も明確なメリットとして挙げられる。

あらゆる業界で導入進むプライベート5G

こうしたメリットを持つプライベート5Gは、あらゆる業界で導入が拡大している。英国に本社を置く調査会社Omdiaのレポート「Private LTE and 5G Networks Tracker 2Q23」によれば、すべての業界で導入実績がある。スマートシティや物流では、大量のIoTセンサーにより監視やトラッキングを行うMassive IoTを実現する。また、病院や大学では、数多くの職員、デバイス、ゲストに対して、高速大容量のネットワークを提供できる。コンサートやスポーツイベントで求められる超広帯域の要件もクリア可能だ。

なかでも先頭に立っている業界は製造業だ。例えば、QCTはインテルと協力し、Intel® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載したエンドツーエンドのプライベート5Gソリューション「QCT OmniPOD」を8つの業界の36の顧客に提供しているが、このうち17の顧客が製造業である。

OmniPODは、Intel® Xeon® スケーラブル・プロセッサーによって駆動される5G RAN、5Gコア、および管理ツールを含んだエンドツーエンドのインフラストラクチャだ。このため簡単に運用することができ、企業はプライベート5Gの導入にかかる時間とコストを節約できる。このターンキーソリューションは半日で稼働させることが可能だ。

99.99%の高い可用性を持つのもOmniPODの特徴である。これは年間15分未満のダウンタイムに相当し、ミッションクリティカルなユースケースをサポートする。さらにマルチスロット形式を備えており、下り重視のシナリオ、上り重視のシナリオ、バランスの取れたシナリオのいずれにも対応する。日本専用の同期、準同期はもちろん、まだ正式には制度化されていない準同期の2と3にも対応している。

プライベート5G(ローカル5G)市場が、企業のDXをサポートするために拡大し続けている。製造業やヘルスケアなど多くの業界にとって5Gは新しい技術であるため、当初は課題に直面したことも確かだ。しかし事態は変わった。その重要な要因の1つに、プライベート5Gの課題を解決するソリューションを持つ台湾QCT(Quanta Cloud Technology)が本格的にグローバル展開し始めていることがある。世界のプライベート5G市場動向とQCTのグローバル攻勢について解説する。

製造業のスマート化をドライブするプライベート5G

製造業におけるプライベート5G導入状況

Omdiaによると、プライベートワイヤレスネットワーク全体の23%を製造業が占めている。

その背景には、製造業がいくつもの変化を迫られていることがある。よりパーソナライズされた製品を作るための柔軟な生産ラインの必要性、国際競争力維持のために歩留まりを向上させる必要性、ダウンタイムを削減するために機器寿命を改善する必要性、安全性向上や専門家不足に対処するために自動化を推進する必要性などだ。

製造業でプライベート5Gの導入が先行しているのは、こうしたイノベーションを起こすのに、プライベート5Gが最も有効なネットワークだからである。有線ケーブルによる接続と違って、無線であるプライベート5Gなら柔軟な生産ラインの変更等を実現可能だ。その一方、セキュリティ、信頼性、増え続けるデバイスやセンサーのサポートといった要件を満たすこともできる。

実際、Omdiaのレポート「Private LTE and 5G Network Enterprise Survey Insight 2022」によれば、製造業の43%が「信頼性とサービス品質」、40%が「セキュリティとプライバシー」、35%が「多数のデバイスをサポートする拡張性」において、5Gが他の接続手段より優れていると見ている。

製造業におけるプライベート5Gの初期のユースケース:eMBB

製造業におけるプライベート5Gの初期のユースケースは、eMBB(超高速大容量通信)である。パーティションで区切られたり、複数のフロアにまたがっていたりなど、広大で複雑な製造現場に対して、その卓越した無線能力でモビリティをもたらすことができる。

Intel® Xeon®スケーラブル・プロセッサーを搭載したOmniPODは、数々の内蔵ハードウェア・アクセラレーター、新しいIntel® Advanced Vector Extensions(AVX)命令、複数のコアにネットワーク処理を分散するIntel® Dynamic Load Balancer(Intel® DLB)といった革新的テクノロジーにより、その5G性能をさらに一段上のレベルに引き上げており、自律移動ロボット(AMR)、品質検査、ロボット監視、ドローン監視、複合現実(MR)を活用した組立て作業、MRナビゲーションなど、様々なユースケースをサポートすることができる。

こんなユースケースも実現可能だ。作業員が安全ガイドラインに沿った服装を遵守しているかどうかを、カメラを使用して確認するといったユースケースである。また、人間とマシンの安全な共同作業を実現するため、作業員が“仮想フェンス”で囲んだ危険エリアに入るとアラームを出すのにも使われている。5Gの超高速な上りスループットと超低遅延を用い、デバイス側ではなくネットワーク側で安全確保のためのAI推論をバックエンドで実施するため、デバイス側の作業負荷は少なくなり、デバイスコストを削減することもできる。

MRもプライベート5Gの重要なユースケースだ。プライベート5Gに接続されたMRデバイスに作業手順を投影して新人をトレーニングしたり、生産ラインに対して遠隔からサポートを行うことができる。MRによって新人の学習曲線を短縮できると同時に、熟練作業員を新人教育ではなく、高度なタスクに集中させることが可能になるのだ。5Gを活用したMRにより、製造現場ではカスタマイズ製品をより効率的に、より高品質に生産できるようになるだろう。

AMRもプライベート5Gによって進化させられる。AMRは、スケジュールや割当に応じて搬送を行うが、5Gではミリ秒単位のハンドオーバーが可能なため、アクセスポイントが切り替わる際にも停止することなくタスクを継続できる。そのため、5G接続されたAMRは、危険物や貴重品の搬送にも適しており、これまで人手を要していた搬送作業担当者の時間を他の作業に振り向けられるようになるのだ。ネットワークに接続するAMRの数が増えても、Wi-Fiと違って5Gならば品質を確保できる。

5Gロボット犬というユースケースにも注目が集まっている。5Gロボット犬は、カメラやセンサーを搭載した移動式ロボット。化学工場などの危険な場所で監視業務にあたる。OmniPODは、途切れのないハンドオーバーとリアルタイムの遠隔制御をサポートしている。5Gロボット犬の活躍によって危険エリアでの作業機会は減り、作業員の運用効率だけでなく、その健康と安全性を高めることもできる。

図表1 スマート製造業のためのプライベート5Gのユースケース

今後の拡張:ネットワークスライシング/URLLC/位置情報/Time-Sensitive Networking

プライベート5Gがサポートできるユースケースの数は将来に向けて、ますます増加し続ける。5Gは柔軟性を持った技術だからだ。

5Gの機能は、これからRel-16、Rel-17、Rel-18と拡張されていき、そこにはネットワークスライシング、URLLC、高精度位置情報、Time-Sensitive Networking(TSN)といった機能が含まれている。

例えば、ネットワークスライシングは、同じ5Gネットワークを共有しながら、データレートや遅延時間などのパラメーターが異なる目的別スライスを複数作成することを可能にする。大量のIoTデバイスの接続をサポートするスライス、低遅延性を重視したスライスといった具合だ。

こうした5Gの拡張により、製造現場での5G活用はいっそう進んでいくだろう。柔軟な生産ラインの実現だけでなく、サプライチェーン全体や接続性の確保が困難な場所のDXにも有用だ。5Gはセキュアな技術であるため、制御とデータのセキュリティを確保でき、個々の製造現場に分散している専門知識を守ることもできる。

5Gは、製造現場にまったく新しいネットワーク環境を創造する。その高品質で安全な接続性は、ミッションクリティカルなオペレーションを実行する能力を製造現場に与え、これにより高い効率と歩留まりを達成可能になる。プライベート5Gは、スマート製造業の新しい時代を切り開こうとしていると言えるだろう。

QCTのグローバルでの成功

PC業界で世界最大手のOEMベンダーである台湾Quanta Computerの子会社であるQCTは、クラウド事業者、通信事業者、エンタープライズなど向けのソリューションを提供している。プライベート5Gも重要な注力分野の1つで、日本、韓国、ドイツ、シンガポール、米国、台湾、その他の国々でのフィールド導入、PoC、ラボの展開数は50を超えている。

同社のプライベート5GソリューションであるOmniPODは、台湾では20以上のプロジェクトで採用され、市場シェアの50%を占めている。また、QCTはマレーシアで初のプライベート5G PoCを提供し、シンガポール工科デザイン大学とのパートナーシップのもと、シンガポールで最初のコミュニケーションラボを設立し、AR/VRなどのユースケースを開発した。QCTのコミットメントの強さは、シンガポールにあるO-RANの試験・検証拠点「O-RAN Asia & Pacific Open Testing and Integration Centre(OTIC)」でのセキュリティアセスメントへの早期参加にも表れている。

ドイツでは、サービスパートナーネットワークを構築した。米国では、O-RAN準拠のCU/DU「QCT OmniRAN」がFCCの認証を取得し、グーグルのSAS(Spectrum Access System)製品とも成功裏に接続した。また、米台の技術貿易と投資に関する協力の枠組(TTIC:Technology Trade and Investment Collaboration)のもと、プライベートワイヤレス協力を促進するための覚書をインテルと締結している。

こうした5Gへのコミットメントを通じて、QCTは5G市場を牽引しており、その存在感はグローバルで急速に拡大中だ。日本市場でもローカル5G事業に力を入れており、OmniPODの活躍を目にする機会は今後どんどん増えていくだろう。

<お問い合わせ先>

QCT
URL:go.qct.io/omnipod-enterprise-5g-solution/
E-mail:[email protected]

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *